36.Basilica di San Lorenzo in Lucina サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂

Basilica di San Lorenzo in Lucina
サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ聖堂

Piazza di S. Lorenzo in Lucina, 6, 00186 Roma RM,

平日 8時00分~19時30分
土曜 8時00分~20時00分  日曜 8時00分~20時30分
https://sanlorenzoinlucina.com/

外観

5世紀創建の教会で、ローマの貴婦人ルチーナが殉教者の供養をするために屋敷を提供して建てられたと伝えられる。12世紀始めに教皇パスカリ2世が再建し、柱廊玄関と鐘塔は今も残っている。
その後1650年にコジモ・ファンツァーゴにより全面的な改築が行われ、側面の礼拝堂が加わった。金箔を張った格子天井は教皇ピウス9世が修復。
1660年代前半にベルニーニがフォンセカ礼拝堂を設計する。主祭壇は1675年のカルロ・ライナルディ設計で、グイード・レーニ作の「磔刑図」がある。
画家ニコラ・プーサンの胸像はルモワーヌの作で、シャトーブリアンがプーサンの墓を建てた。

館内図

7. 受胎告知(フォンセカ)礼拝堂の設計装飾 cappella dell’Annunciazione o Fonseca

ICG/Calcografia; campionario 131 Identificazione: ITALIA ROMA S.LORENZO IN LUCINA CAPPELLA FONSECA SPACCATO E PIANTA Titolo proprio: CAPPELLA ET ALTARE IN S.LORENZO IN LUCINA ..
ICG/ Calcografia; campionario 131 Identificazione: ITALIA ROMA S.LORENZO IN LUCINA CAPPELLA FONSECA PIANTA SPACCATO Titolo proprio: FIANCO DELLA CAPPELLA DE SIG.I FONSECHI IN S.LORENZO ..

「ガブリエーレ・フォンセカの肖像」Gabriele Fonseca 1668-73

S. Lorenzo in Lucina, / Cappella Fonseca

ポルトガル人でイノケンティウス10世の外科医だったこの人物の肖像を、フォンセカ礼拝堂の装飾の一部として制作した。礼拝堂はベルニーニの設計によって1660年代の前半に装飾されたが、肖像だけはずっと後になるまで完成しなかった。1668年に世を去ったフォンセカの生前にデッサンなどの準備がされたことは確かだが、大理石にかかってからなかなか進まなかったらしい。
墓の記念像として壁に付けられたこのフォンセカの肖像は、祭壇の方を見つめ、左手を胸に当てて、右手でロザリオを握りしめるという礼拝の姿で表されている。それは切実な、全霊を込めた祈りの姿である。ベルニーニは自らモデルと同じポーズをとり、あたかも自分がデッサンされているように感じることによって肖像に表情を与える、と語ったと伝えられるが、このフォンセカのポーズをベルニーニが自らとって、そのイメージに感情移入しようとする姿を想像することは容易であろう。そしてその時込み上げたであろう神への渇望を、彼はロザリオを握りしめる手に託したように見える。ルドヴィーカの像でも手は重要な役割を担っていたが、この肖像ではそれより直接的にモデルの内面を表現する手段となっているのだ。
ベルニーニ晩年の肖像の特徴を端的に示すこの作品は、フォンセカという人物の存在感や人間性よりも、祈りという行為そのものを強く印象づけられる。しかもそこには、晩年のベルニーニの境地がにじみ出て、深い精神性があらわれている。先に述べたように、肖像彫刻はベルニーニがとりわけ得意とし、特別の愛着を抱いた分野であった。このフォンセカの肖像は、この分野におけるベルニーニの長く、そして実り豊かな制作活動を締めくくるにふさわしい充実した作品だといえよう。